理容師を目指したきっかけ
バーバーなび:こんにちは、本日はよろしくお願いします。まずは山口さんが理容師を目指すことになったきっかけを教えてください。
山口氏:よろしくお願いします。きっかけは親が理容師だったことですが、最初から良いイメージを持っていたわけではありませんでした。親の働く姿を見て、「忙しそうだな」という印象やお客さんが毎日来ているのに「うちは金がない」という言葉を聞く度に「お金にならない仕事にどんな魅力があるんだろう」と感じていたんです。なので、「あまり儲からないなら理容の道には進みたくないな」とも思っていました。
そんな中、学生時代のアルバイト経験で飲食業界の楽しさを知り、将来は飲食業界に進みたいと考えるようになりました。17歳の時、池袋のバーでアルバイトを始め、先輩たちが一気に辞めてしまったことを機に、カウンター業務を任され、やりたいと思っていたカクテル作りも教えてもらうことになったんです。そして、だんだん慣れてきて少し天狗になっていた頃、いつも女性と来店される常連さんから「お前自分の作るカクテルがいけてると思っているのか」とお叱りを受けたんです。
「17歳の小僧が作るカクテルなんて美味いわけがない。それでも毎週ここに通う理由は、俺と彼女とお前の三人で話す空間が楽しいから。お前のリアクションや会話が心地良いから通っているんだ。カクテルが商品ではなくお前自身が商品なんだよ」と言われ、その言葉を聞き自分の中にイナズマが走りました。「自分自身が商品になる」という発想は初めてで、それからバーテンダーを目指したいと思い親に相談すると、「やりたいことなら応援するけれど、まだ早いんじゃないか。学生を続けながら将来のためにも理容師の免許を取っておけば?」とアドバイスを受け、理容の専門学校に通うことになりました。
その中で実習で幼稚園の子供の髪を切ることがあり、ぎこちないところもありましたが、子供達はキャッキャと喜んでくれるんですよね。その姿を見てあの時バーで言われた「自分自身が商品になる」ということと理容は通ずるところがあると感じて、理容業界に興味を持つようになり、この道で頑張ってみようかなって思ったんです。
バーバーなび:バーでの出会い、頂いた言葉をきっかけに、様々な思いを経て今も理容師として活躍されているのですね。
山口氏:そうですね。理容室の息子でありながら、初めからストレートにこの業界を目指したわけではなく、むしろやりたくないと思っていた時期もありました。でも、色々な経験を通じて、「髪を切る行為」そのものよりも、髪を切った後に見られるお客様の喜んだ姿や笑顔にこそ、理容の魅力があると感じるようになりました。